レストラン経営 / 小倉哲さん – ベトナム就職者談

今回のベトナム就職者談では、自分のこれまでの様々な経験を活かし、レストランを経営されている小倉哲(さとし)さんに話を伺いました。大学では文学部哲学科に所属されていましたが卒業後はIT関係の職に就き、そこからパリでのワーホリを得て現在のレストラン経営に至ったという小倉さん。一見するとどれも関係がないようですが、すべてが繋がって今の自分がいる、と考える小倉さん。これまでの経験、そしてベトナムに来てからの考え方の変化についてお話いただきました。

小倉哲さん

 一度ベトナムのIT企業に転職

−自己紹介をお願いします!

千葉県出身の34歳、小倉哲(さとし)と申します。金融系のIT企業で7年間働いたのち、ワーキングホリデーを利用して1年間パリとイタリアを周り、その後ベトナムにやってきました。ちょうど3.11のあとの4月に来越したので、もう4年になります。

 

−色々な経験を経て今ここにおられるのですね。現在はどんなお仕事をされているのですか?

エルソルというレストランを経営しています。このレストランは1区の古いビルをリノベーションして作りました。私はオペレーション作業ではなく経営面、例えば数字のことやアイデア・戦略作り、メニューやプロモーションなどを行っています。店の中のデザインや空間づくりも私の仕事です。店のオペレーションや作業は、私の奥さんとスタッフが行ってくれています。

 

−ベトナムでレストランを経営するまでの経緯を教えてください。

日本ではIT企業で働いていたのですが、朝9時から夜中の12時まで土曜も毎週働いていました。電話で夜中に呼び出されることもしばしばで、大変だけど充実はしていましたが、なんだかその生活にしっくりこなかったんですね。それで、元から好きだったワインやチーズ、料理、コーヒーなどの勉強をしていました。

そして、それらの知識を更に深めたい、フランスに行きたいと思い立って、28歳でワーキングホリデーを利用してフランスへ行きました。結局働いていませんが(笑)、毎日ワインやチーズの勉強をしていました。ワインをテーマにフランス一周もして、イタリアも一周しました。イタリアでは色々な料理を食べました。

 

その後、レストラン経営をされたのですか?

日本に帰国して、レストランを経営してみたいとぼんやり考えていました。でもまだ1社しか働いたことがなかったし、他の仕事をしてみて、その間に将来のことを考えようと思いました。外国で働きたいと思い、アメリカとヨーロッパには行ったし、次はアジアだ!と思いアジアにしました。ITのスキルを活かしてアジア各国の仕事を探したのですが、最初に受けたベトナムのIT会社から採用していただけたので、ベトナムにやってきました。

 

 ベトナムでレストラン経営をするきっかけ

−ベトナムのIT会社に就職/転職されたんですね。ベトナムのIT企業でのお仕事はいかがでしたか?

日本での労働時間よりは短くなり、かつベトナム人とどのように働けばいいかなど沢山の経験ができました。それでも、休日にも仕事のことが離れなかったり、まだ根本的には日本での仕事のやり方と変わっていませんでした。それで、このように仕事のことだけをずっと考える生活は自分に合っていない、独立して自由に時間を使える生き方を選びたいと考えました。

 

−そこから独立して自分で会社を経営する今の道を選ばれたんですね。

そうですね。そこから以前から考え続けていたベトナムでのレストラン経営へと乗り出しました。エルソルというレストランの経営をスタートしました。

 

−ITの経験やフランスでの経験は、現在のレストラン経営に活きていると思いますか?

そうですね。あと、自分はこれまでの人生で得た経験やノウハウは、すべて繋がっていると思っています。例えば今までの飲食店での勤務経験ですね。店内のオペレーションや材料の調達から、雑巾の管理や宴会で料理を出すタイミングまで、これが全部今に生きているんです。

将来的にはホーチミンでお店をもっと拡大していきたいと思っています。大きい店でなく、小さい店をたくさん作りたいです。2年ぐらいで5、6店舗は作りたいですね。今は色々やりたいことが多いです。

 

 仕事についての考え方

独立することについてはどのようにお考えですか?

私は早く独立したほうがいいと思っています。というのも、会社で働くのと自分でやるのとではやっぱり勉強量が全然違うからです。保険や人事、住民との交渉から広告、マーケティングまで、すべてのことの責任をもつ。誰にも言い訳できませんし、だからこそ経験値が上がりやすいと思います。

 

−ベトナム人のマネージメントについてどのようにお考えでしょうか?

ベトナム人スタッフにガミガミと言っても、彼らはついてきてくれません。ベトナムに来たばかりの時はいつも怒ってばかりいましたが、彼らはついてきてくれませんし、全く成長させることができませんでした。でもある時から怒るのをやめて、付き合い方を変えました。悪いところではなく、良いところだけを見るようにしました。自分が変わらないと意味がないんだ、そういうプレッシャーで人は変わります。これはみんなが通る道だと思います。

 

 海外で働くこと、ベトナムで働くことの楽しさ

−ところで小倉さんはベトナムでの滞在は4年になりますが、ベトナムのどういうところが好きですか?

ゆったりできるところと、食べ物がおいしいところ。あとは、この国の物の少なさから、人生に本当に必要なものがわかるところ。というのは、日本にいると、本当はいらないものでも必要だと思ってしまう錯覚がある気がするんです。もちろん物質的には豊かなんですが、ベトナムに来てみると、それが別に必要じゃなかったと気づくようになりました。原始的な国だからこそ、日常の中の大事なもの、愛する人や仲がいい人、やるべき仕事などコアなところを見ることができるんだと思います。

それに日本にいると、自分が能力や物をいっぱい持っていると錯覚しがちですが、ベトナムに来るとそれが全然通用しなかったりする。要は等身大の自分が見えるんですね。また、言葉が通じない状況では、信頼する気持ちだったり自分のふるまいだったり、がコミュニケーションのツールになってくる。そこから相手に信用してもらうしかない。ベトナムでは、人として本当に大事なところ、コアなところが見つけられやすいと思います。

 

−最後に、海外でビジネスをする楽しさを教えてください!

エルソルは自分がこれまで得た物や見てきたものを具現化したものです。いいものだけを出しているんです。今出している料理も、フランスやイタリアで、そして日本で食べた物の経験から出しているものです。ベトナムスタッフは、見たことがないからわからないものもあります。それを、こういう世界があるのだ!と見せて伝えて、それから作ってもらう。このプロセスが本当に楽しいですね。社長の考え方や経験、人生観によってそのお店の味は変わってくるんです。

 

−小倉さん、ありがとうございました!

 

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