ベトナムは漢字文化圏?ベトナムの漢字の歴史と今も残る漢字の影響

ベトナム(漢字表記:越南)では、1945年のベトナム民主共和国の独立まで漢字(漢文)を公式の表記文字として使ってきました。しかし、現在は公式な表記文字として一切漢字は使われていませんし、漢字の読み書きができるベトナム人は日本語、中国語を勉強している人を除きほとんどいません。

どうしてベトナムでは漢字が使われなくなったのでしょうか?そして、今のベトナム語は何に由来するのでしょうか?今回はベトナムの漢字の歴史について説明していきます。

(画像元:Walking Hanoi

 ベトナムの漢字使用のはじまり

ベトナムは、1802年に阮(グエン)朝が全域を統一するまで、北部・中部・南部に別々の王朝として分かれていました。

北部ベトナムは、紀元前111年 – 938年まで北属期と呼ばれており、中国王朝を宗主国として中国からの支配を受けていました。中国は、紀元前206年から220年まで漢字を生み出した「漢」が支配していましたが、この時期に北部ベトナムに漢字が入ってきたとされています。

938年以降、北部ベトナムでは独立王朝が誕生し、1009年から1225年の間ベトナムにおける初めての長期王朝である李朝が誕生します。李朝は、儒学・仏教の奨励や科挙の実施など中国文化を積極的に取り入れたことで、この時期にベトナムでの漢字文化はより一層広まったとされています。

その後、1802年阮朝が北部・中部・南部をまとめたベトナム統一王朝を誕生させます。阮朝は中央集権化を進め、ベトナム全土に漢字を広めていきました。

ちなみに、ベトナムでは純粋な漢字(漢文)だけが使われていたのではなく、現在の日本が漢字とひらがなを併用しているように、漢文と「チュノム」と呼ばれる漢字を応用したベトナム独自の文字を併用しており、漢文とチュノムを混ぜて文章等を書いていました。

 

 現在ベトナムで漢字に代わり使われている「クオック・グー」

現在のベトナム語は、英語やフランス語と同じようにラテン文字起源のアルファベットを使用しています。ただし、英語と異なりF, J, W, Zは使用しませんし、アクセント符号を付けベトナム語の6声調を表記するなどの特徴があります。

この現在のベトナム語の文字は、クオック・グー(Quốc ngữ)と呼ばれています。このクオック・グーは、漢字の「国語(こくご)」が起源となった言葉です。後でご紹介しますが、ベトナム語にはこのように漢字起源の言葉が70%程度あると言われています。

 

 ベトナムで漢字が使われなくなった理由

現在のベトナム語のアルファベット表記「クオック・グー」は、1651年にフランス人のカトリック宣教師がベトナム語の辞書を作成した際に、ベトナム語の漢字をアルファベットで発音を表記したことが期限と言われています。当初は、カトリック教会内のみで使用されており、一般大衆には広まっていなかったようです。

ベトナムでクオック・グーが一般大衆まで広がり漢字が廃止されたきっかけは、1887年の仏領インドシナ連邦の設立に伴う、フランスによるベトナムの植民地化です。

フランス当局は、ベトナムでフランス語を公用語化されることを目指します。そこで、まずは漢字使用を止めフランス語に近い文字表記であるクオック・グーの普及に力をいれたとされています。しかし、フランスのクオック・グーの普及活動に対し、ベトナム人の知識層や一般大衆から「ベトナムの伝統文化である漢字とチュノムを軽視している」、「野蛮な国の文字」として強い反発を受けました。

しかしフランス当局も諦めず、ベトナムでの公務員試験にあたる「科挙(後に科挙は廃止)」において、漢文だけでなくクオック・グーの試験も開始しました。このことで知識層にクオック・グーを使わざるをえない状況にし、ベトナム人の知識層やカトリック関係者の中でクオック・グーが少しずつ広がっていきました。

また当時、漢字とチュノムはベトナムの一般層にあまり普及しておらず、ベトナムの識字率は低い状態が続いていました。そこで、フランス当局はクオック・グーを「誰でも簡単に使える庶民の文字」として宣伝していきました。実際クオック・グーは、ベトナムで使われてきた漢字とチュノムにはない書き言葉と話し言葉を統一できるというメリットや、漢字よりも簡単に覚えられるというメリットがあるため、ベトナム国民に広く支持されるようになっていったとされています。

そして、1945年ホーチミン氏によりベトナム民主共和国が設立されベトナムが独立を宣言すると、ベトナム政府は識字率の向上を目指しクオック・グーをベトナム語の公式な表記文字とすると定め、漢字(漢文)の公式での使用を廃止しました。そこから一気に、ベトナムで漢字が廃れ、現在のクオック・グーが広まったとされています。

 

 日本語と同じ意味を持つ、漢字由来のベトナム語

前述のとおり、以前のべトナム語は漢字を独自の読みに変化させた「チュノム」を漢字と併用していました。

このチュノムは、中国の「唐」の時代の漢字の読み方に似ているいて、現在の中国語の漢字の読み方とは大きく異なります。同じく遣唐使によって「唐」の漢字文化を取り入れた日本語の漢字は、ベトナム語の漢字と読み方や意味が似ている部分が多くあります。漢字を通した日本とベトナムの意外な共通点はとても興味深いです。

それでは、現在もベトナムで使われている、日本語と同じ意味を持ち、似た発音のベトナム語をいくつかご紹介します。ベトナム語を勉強しようと考えている方は、覚えやすいこれらの言葉から覚えると、他の言葉にも応用が効くのでおすすめです。

 

  • 愛国 (Ai Quoc/アイクオック)
  • 悪意 (Ac Y/アックイ)
  • 衣服 (Y Phuc/イーフック)
  • 意見 (Y Kien/イーキエン)
  • 改革 (Cai Cach/カイカック)
  • 改善 (Cai Thien/カイ チェン)
  • 感動 (Cam Dong/カムドン)
  • 感恩 (Cam on/カム オン)
  • 記念 (Ky Niem/キー ニエム)
  • 国歌 (Quoc Ca/クオックカー)
  • 管理 (Quan Ly/クアンリー)
  • 観察 (Quan Sat/クアンサット)
  • 結婚 (Ket Hon/ケッホン)
  • 公園 (Cong Vien/コン ビエン)
  • 昆虫 (Con Trung/コンチュン)
  • 頂戴 (Cho Toi/チョートイ)
  • 準備 (Chuan Bi/チュアンビ)
  • 注意 (Chu Y/チュ イ)
  • 態度 (Thái độ/ タイ ド)
  • 天然 (Thien Nhien/ティエンニエン)
  • 同意 (Dong Y/ドンイ)
  • 独断 (Doc Doan/ドックドアン)
  • 武器 (Vu Khi / キ)
  • 楽観 (Lac Quan/ラックアン)

 

これらは日本語と似たベトナム語のほんの一部です。ベトナム語は発音が難しく覚えることが難しいとされますが、漢字を連想して覚えると意外と覚えやすい言語なのかもしれません。

 

 まとめ

この記事では、ベトナムの漢字について説明してきました。

現在でもベトナム人の名前は漢字由来のものが多いですが、由来の漢字やその意味を知る人も少なくなっています。この現状に対して「漢字とチュノムを捨てたことは文化的損失だ」と考えるベトナム人の学者もいることから、一部で漢字復活論も出ているようです。今後、今以上に力をつけていくであろう中国の影響を再度受け、ベトナムでも少しずつ漢字が復活していくこともあるのかもしれません。

 

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