GDP成長率7%超え!好調なベトナム経済の現状と今後について解説

2018年通年のベトナムの経済成長率(GDP成長率)は7.1%となり、2008年のリーマンショック以来最高の経済成長率となりました。これで直近10年間でのベトナムの経済成長率が平均6%を超えることが確定しました。近年のベトナム経済の好調さがうかがい知れると思います。

今、どうしてベトナム経済は好調なんでしょうか。また、今後もベトナムは経済は、成長し続けることができるのでしょうか。こちらの記事では、好調なベトナム経済の成長の要因と今後について予測・解説していきます。

 ベトナムの基礎情報

前述したとおり、現在のベトナム経済は好調で高い経済成長を続けています。そんなベトナム経済を説明する前に、知っておきたいベトナムの基礎情報をお伝えします。

 

 豊富な人口と若い平均年齢

2018年に人口が9,600万人を超え、急速に人口増加中のベトナム。ASEAN地域では、インドネシア、フィリピンに次いで3番目の人口を抱え、2026年に人口が1億人を超えると予想されています。そして、2040年前後には日本と人口が逆転し、ベトナムの方が人口が多い国になると予想されています。人口が増えることで人口ボーナス期になり、ベトナムの経済は成長を続けています。

また、ベトナム人の平均年齢は約31歳ととても若いです。日本の平均年齢は約46歳なのでその差は歴然だと思います。結婚、出産、子育てでどんどん消費をする20代、30代が中心なので、ベトナムの経済はどんどん成長しています。

ただ、ベトナムの平均寿命は近年伸び続けており、女性 81歳、男性72歳となっていることから、ここから20年間で急速に高齢化が進んでいくと予想されています。高齢化は今後のベトナムの経済成長に悪影響をもたらすことになるので、今後様々な対策が必要になります。その時すでに超高齢化社会を経験している日本が、色々とベトナムの力になれるチャンスなのかもしれません。

 

 ベトナムの経済成長が遅れた背景

ベトナムの経済成長が遅れたのは、長く続いた戦争が主因です。

第二次世界大戦前はフランスと日本に侵略されていたベトナムですが、第二次世界大戦後も領土支配をめぐってフランスやアメリカとの戦争に突入し、南北のベトナムに分裂してしまいました。その後、1975年までベトナム戦争を続けることになりました。

1975年にベトナム戦争が終結し南北統一を果たしましたが、その後カンボジアや中国との戦争が続き、完全に終戦を迎えたのは1981年になってからです。ここから、ようやくベトナム経済の成長がスタートすることになります。

他国に比べて大きく経済成長が遅れたベトナムは、1980年代までは世界の最貧国の一つと言われていました。しかし、1986年にドイモイという新しい経済政策を導入し、国主導の社会主義経済を一新し「市場経済」を導入。また、外資系企業のベトナム進出を受け入れ、資本主義経済を一部取り入れたことで、90年代に入り経済が成長しはじめ、1995年、1996年には9%台の高い経済成長率を記録しました。

アジア経済危機の影響などから一時経済成長率(GDP成長率)が低迷したものの、海外直接投資(FDI)の増加などにより、2000年~2010年の平均経済成長率が7%を超え、そこから今までベトナムはずっと高い経済成長を続けています。

 

 ベトナム社会主義共和国の政治

ベトナムの正式な国名は「ベトナム社会主義共和国」で、その名のとおり社会主義国家です。現在、世界で社会主義国家は中国、キューバ、ラオス、ベトナムの4カ国です。他国同様、ベトナムも資本主義経済を取り入れ、外資系企業を多く受け入れているため、経済活動上、民主主義国家と大きな違いはありません。(もちろん、細かな違いはたくさんあります)

ベトナムは中国と同様、共産党による一党独裁の政治体制で、日本の与党、野党のように複数の政党が争っているわけではありません。そのため、意思決定のプロセスが国民に伝わりにくく、汚職や権力集中が進みやすい政治体制と言われています。一方、意思決定に時間がかからないため政策の実行がしやすいというメリットもあります。

ベトナム共産党は、中央委員会書記長が最高職で序列1位、国家元首である国家主席が共産党内序列2位、首相が3位となっています。ただ、首相が経済・外交のトップであることから、実際の国家運営は首相が中心に行なっています。現在の首相は、Nguyen Xuan Phuc(グエン・スアン・フック)氏です。メディアに登場するのも、多くの場合Phuc(フック)氏です。

ちなみにベトナムでも中国同様、出版物やインタネット上での各種記事などもすべて政府で閲覧されており、FacebookなどのSNSで政治批判などをした場合「国家転覆罪」として重罪になる可能性があります。

 

 ベトナムの最新の経済指標

それでは、直近のベトナムの経済状況はどうなんでしょうか。2018年の最新の経済指標を使って説明していきます。

 

 2018年のベトナムの経済成長率(GDP成長率)

前述しているとおり、2018年通年のベトナムの経済成長率(GDP成長率)は7.1となり、2008年のリーマンショック以来最高の成長率となりました。

ベトナムのGDPの内訳としては、製造業、サービス業、農業が半数近くを占めています。特に、2018年のベトナムのGDPの約25%が、ベトナムで大規模工場を構える韓国サムスン電子とLG電子のスマートフォン・テレビ・家電の製造・輸出によるもので、2社の外資系企業に大きく依存している状況が問題視されています。

ベトナム政府は、2019年の経済成長率を6.6~6.8%だと予想しています。引き続きベトナムは高い経済成長を継続できる見込みです。

※以下の表をみると、近年のベトナムの高い経済成長が分かると思います。

(画像元:JETRO

 

 2018年のベトナムのインフレ率

ベトナムの2018年6月のインフレ率(≒物価上昇率)は、前年同月比で4.7%でした。ベトナム政府は近年インフレ率を抑制してきたので、この4.7%という水準は過去4年間で最大となるインフレ率です。

ベトナムのインフレ率、または物価について詳しく知りたい方は以下にまとめているのでご覧ください。

 

 ベトナム経済が絶好調な要因

どうして近年ベトナム経済は好調なんでしょうか?「ベトナムは経済発展が遅れていたから」という理由以外にも、経済発展中の他国以上の成長を遂げているのには要因があります。以下にて考えられる要因の一部をご紹介します。

 

 豊富な労働力と活況な消費意欲

ベトナムの基礎情報でお伝えしたように、ベトナムの平均年齢は31歳と若く、人口が急増しています。ベトナムの人口は世界で14位なので、世界的に恵まれた内需市場があると言えます。

また、高度経済成長中であり平均年齢が若いベトナムは、「来年の給料は上がる」「明日は明るい」という考えが強く、貯金をして将来に備えるという考えよりも、稼いだ分をどんどん消費に回そうという考えが強いです。そのため消費意欲が活況で、場所によっては高額なマンションなども一瞬で完売するというような状況が続いています。見方によっては、バブル経済に突入する前の日本のような状況なのかもしれません。

 

 巧みな外交による増え続ける海外直接投資(FDI)

ベトナム政府の外交は「全方位外交」だと言われています。

例えば、日本の場合アメリカとの同盟の手前、中国と近づきにくいという状況だと思いますが、ベトナムは40年前まで戦争をしていたアメリカだけでなく、南シナ海の領有権問題を抱える中国とも経済的にも政治的にも良い関係を続けています。

また、韓国や日本両国とは「過去最良の関係」と言われるほど良好な関係を続けています。様々な利害関係が絡む国々と全方位外交を成功させているのがベトナムです。各国に「ベトナムは巧みな外交だ」と賞賛されるほどです。

この巧みな外交の結果、ベトナムは2018年、過去最高の191億USD(約2兆600億円)もの海外直接投資(FDI)を受けることに成功しています。これは前年比で9.1%増で、なんと6年連続で過去最高を更新しているようです。

ちなみにFDIの投資金額トップは、2年連続で日本で85億USD(約9,160億円)でした。2位は72億USDの韓国、シンガポール、中国と続きます。FDIは、当然ベトナムの経済成長に影響します。

 

 理科系教育の成功

ベトナムは、理科系の教育が強いと言われています。毎年高校生を対象として開かれている国際数学オリンピックの物理や化学の科目では、日本を上回る好成績を残す年もあります。

また、ベトナムの子供の憧れの職業の1位は「ITエンジニア」で、IT立国を目指すベトナム政府の方針の通り、ITエンジニアを目指す若者が多い国です。今後、多くの国でITエンジニアが一番不足する職種だと言われている中、ベトナムの「ITエンジニアはかっこいい」「ITエンジニアが稼げる」という若者の風潮は、今後のベトナムの経済成長を考えるうえで大きなプラス要因と言えるでしょう。

一方、ベトナムと経済規模や人口が近いフィリピンは、英語力やホスピタリティ能力は高いとされていますが、この理数系の教育が弱く国民の理数系の能力が低いことから、今後フィリピンが経済成長を続けられるかどうか懐疑的な見方があります。

 

 活況な株式市場

2018年、新規株式公開(IPO)の総額が東南アジアで1位になりました。すでに経済発展しているシンガポール、マレーシア、タイを抜いての1位なので、ベトナムの株式市場が活況であることがうかがい知れると思います。

ちなみに、ベトナムで一番大きいコングロマリットであるビングループの中の一つ、ビンホームズ(Vin homes)が2018年にIPOし、約1,500億円を調達しています。これが2018年の東南アジア最大のIPOとなったようです。

 

 今後のベトナム経済の成長可能性

今まで好調な成長を遂げてきたベトナム経済ですが、今後も引き続き成長を続けることができるのでしょうか。今後のベトナム経済の成長の要因をいくつかピックアップしてみました。

 

 TPP11がスタート

2018年12月30日に発効したTPP11が、2019年1月14日からベトナムで適用されてスタートしました。TPP11には、ベトナム、日本、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、カナダ、ブルネイ、メキシコ、ニュージーランド、チリ、ペルーが参加しており、この11カ国で世界のGDPの13%を占める巨大な自由貿易圏です。

このTPP11によりベトナムは多くの恩恵を受けると予想されています。特にTPP11が製造業や水産業が急成長する起爆剤になると期待されています。

 

 米中貿易戦争による中国からの移転

みずほ総合研究所が、「米中の貿易戦争で、ベトナムがアジアで最も大きな経済的なメリットを受ける」と分析していました。このことが、ベトナムのGDPの0.5%程度の増加要因になると予想しています。

米中の貿易戦争により中国本土からアメリカへの輸出が難しくなるため、生産拠点をベトナムに移し、ベトナムからアメリカに輸出しようと考える企業が増えます。実際に、すでに中国からベトナムへの生産拠点の移動は進んでいます。

ベトナム政府もベトナム経済の成長を促す目的で、中国からベトナムへの生産拠点の移動を検討する会社へ、会社設立手続きの簡略化などの優遇施策を取る考えです。

 

 ベトナム国産車の始動

(画像元:GENK

ベトナムは、ベトナム国産車が完成することを見越して、外国車が普及しすぎないように外国車に高い関税を設けていました。そして、待望のベトナム初の国産車がVin Fastによって2018年6月に発売開始されました。2025年に年間生産50万台を目標としているようです。

ベトナムの2018年の自動車の新車販売台数は約29万台とあまり多くありません。ベトナム政府の狙い通り、外国車に高い関税をかけて抑制しているため自動車の普及が進んでいません。そのため、安価に販売できるVin Fastのベトナム国産車が一気にベトナムマーケットを抑える可能性があります。

また、ベトナム政府は、自動車部品の現地調達率を現在の10%程度から、2020年までに35%に引き上げる目標を掲げています。Vin Fastを中心に、自動車業界の裾野産業が一気に成長を遂げる可能性があります。

※ベトナム政府は2018年1月に輸入車に対しての関税を撤廃すると発表しましたが、輸入時の品質検査を厳しくして輸入車にかかるコストを増やしたことで、関税撤廃の話は骨抜きとなっており輸入車の値段は高いままの状態です。

 

 ベトナム経済の今後の課題

ベトナム経済にとってプラスの要素が多いのは間違いないと思いますが、長期で見た時には多々課題があります。ベトナム経済がかかえる今後の課題について説明します。

 

 コストセンターから内需主導型経済への移行

ベトナムは、安価な人件費をメリットとして多くの外資系企業を誘致してきました。そして、ベトナム経済を成長させてきました。

実際、安価な人件費目当てに日系企業含めた多くの外資系製造業やITオフショア開発会社がベトナムに進出しました。これは、ベトナムをコストセンターと捉えての進出であり、人件費が上昇するとベトナムに進出するメリットがなくなってしまいます。

近年ベトナムではこの人件費が高騰しており、ベトナムがコストセンターにはならない時期を迎えようとしています。生産拠点を脱却し、輸出に頼る経済ではなく内需主導型の経済へと移行していかなければなりません。そのためには、ベトナム人一人一人の生産性をあげていかなければなりません。中国の成功事例があるので、うまく転換を進めることは可能だと思います。

 

 教育改革

ベトナムは理数系の教育が優れていることは間違いないですが、それは一部の教育現場だけの話で、ベトナム全域に広く行き渡っているとは言えません。

例えば、大学に行っていない、つまり大学受験のために勉強をしていない高卒の30歳前後のベトナム人の多くは、簡単な算数ができません。高卒と言えども、先生の質が低く教育がうまく機能していない現場が多いためだと言われています。

ベトナムの大学進学率は28%と、他の東南アジア諸国と比較してもとても低く、優秀な人材の比率がとても低いのが実状です。ちなみに日本の大学進学率は63.5%ですが、これは決して先進国の中で突出して高いわけではありません。今後、ベトナムが抜本的な教育改革をするかどうかによって、今後ベトナム経済が発展するかどうかが決まると思います。

これからのベトナムはコストセンターとしての単純労働から脱却し、一人一人の生産性をあげていかなければなりません。そのために、現状単純労働者として工場で働いている人たちの教育レベルをあげなければなりません。

 

まとめ

ベトナム経済の現状と今後についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。ベトナム経済にとって好材料が多く、今後も高い成長率を保っていくと思います。

20代、30代の日本人は、生まれてからずっと経済が低迷している日本で育ったため、経済成長している国がどのような雰囲気なのかが理解しにくいと思います。そのため、凄まじい勢いで経済成長を遂げるベトナムで働くことで、日本では味わえない経験を積むことができます。興味がある方は、ベトナム転職/就職を検討してみてください。

 

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